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錯誤の数数に星の輝きを見つけるためのサイエンスフィクション
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ジョージア州シャンブリーのウェルズ・ファーゴ銀行で強盗を試みた男はあえなく退散した。男が伏し目がちに受け渡し窓からすべり込ませたメモにはこう記されていた。「金を出せ。さもないと撃つぞ」

窓口係は驚いたものの、瞬時に気持を立て直してあとじさった。受け渡し窓の隙間を除けば、強固な防弾ガラスが彼女を守ってくれていることを思い出したからだ。呆気にとられた男は、目的を果たさぬまま早早に逃走するほかはなかった。

男は銀行の玄関口でタクシーに飛び乗った。自分の車はそう遠くない場所に停めてあったが、足を動かしてたどり着くだけの気力がもう残ってなかった。仕損じはしたが、ともかく自分の車に戻ることができる。まずは落ち着き、善後策を練ろう。しかし下車しようとしたとき、タクシー代を支払う手持ちさえないことに男は気づいた。

乗り逃げされるのではと恐れた女性ドライバーは、男をタクシーに閉じ込め、その不穏な様子は通りがかりの警官の注意を引いた。「さっさと引き出して支払わないと面倒なことになる」警官は男に助言した。

警官は近くの銀行まで男のために付き添った。そう、ウェルズ・ファーゴ銀行だった。銀行員が男に気づき、彼は逮捕された。

失敗を恐れることと、備えることはまるで違う。すぐに大金が入るのだからとほんの小額さえ持たなかった男は、敗れるべくして敗れ去った。
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テープ起こしの現場では、元の音声が分からなくなってしまう不都合を避けるための原則を設けているらしい。

たとえば「そのほか」という発語を「その他」と書き起こすべきではない。その文字は「そのほか」とも「そのた」とも読めてしまうからだ。ひとたび「その他」の元の音声は「そのほか」ではないと決めたなら、「そのた」という発語を「その他」と記述しても混乱は来さないし、審美的な観点からむしろ望ましいといえる。

以上を踏まえ、次のどの訳文が望ましいかを検討してみた。

(い)エリクには、結局は死なせてしまいましたが、象という兎がいました。兎はもっと小さくてすばしっこい動物だと思っていたエリクは、象をはじめて見たとき、ただやたらと大きいとびっくりしました。エリクが兎に期待していた優美さは備わっていないと判明したので、いくぶん侮りの気持もあって、それならばとエレファント、すなわち象と名づけました。しかしエリクは、しだいに象のだらりとした風貌が気に入りました。

(ろ)エリクには、結局は死なせてしまいましたが、エレファントという兎がいました。兎はもっと小さくてすばしっこい動物だと思っていたエリクは、エレファントをはじめて見たとき、ただやたらと大きいとびっくりしました。エリクが兎に期待していたエレガントさは備わっていないと判明したので、いくぶん侮りの気持もあって、それならばとエレファントと名づけました。しかしエリクは、しだいにエレファントのだらりとした風貌が気に入りました。

(は)エリクには、結局は死なせてしまいましたが、象という兎がいました。兎はもっと小さくてすばしっこい動物だと思っていたエリクは、象をはじめて見たとき、ただやたらと大きいとびっくりしました。エリクが兎に期待していたエレガントさは備わっていないと判明したので、いくぶん侮りの気持もあって、それならばとエレファント、すなわち象と名づけました。しかしエリクは、しだいに象のだらりとした風貌が気に入りました。

(い)では、エレガント、エレファントという音声的な近似が削がれてしまっている。その視点を抜きに優美さの欠如を象につなげては飛躍の感を免れない。

(ろ)では、冒頭からエレファントという名が出現するために、エレガントをエレファントにつなげた名づけの瞬間の印象がぼけてしまっている。

どれを支持するかアンケートをとったところ、(い)30パーセント、(ろ)20パーセント、(は)50パーセントという結果であった。まず順当な数字だろう。
リカルド某は偽のIDを示して銀行に口座を開こうと試みた。銀行員は迷うことなく警察に通報した。IDカードの顔写真がジャック・ニコルソンだったからだ。

ブラジルの警察は押収したフアン・ペドロ・ドス・サントス名義の偽造ID(ジャック・ニコルソンの顔写真が貼られている)を公開し、後を追ったが、リカルド某の行方はそれから三週間以上もつかめなかった。

少なくとも二つの疑問が浮かぶ。一つは、有名俳優ジャック・ニコルソンの顔写真を公開したことが捜査の進展にわずかでも役立ったのか。被疑者の逮捕後に警察が「俳優とはまるで似ていませんでした」と語ったくらいだから、役には立たなかったはずだ。

二つ目は、猿知恵ともいえないほどの稚拙な犯行を試みたリカルド某が、なぜ三週間以上も逃げ延びられたか。彼は逮捕時、五枚ものIDカードと四枚の別名義のクレジットカードを所持していた。

その五枚のIDの顔写真については触れられていないから、きっと有名俳優ではなく、市井の人の写真が貼られていたのだろう。彼は偽IDを使い分け、警察の目をくらませようとした。だが別にもっと出来のいいIDカードを五枚も持っていたリカルド某が、なぜ銀行でよりによってジャック・ニコルソンを使ったのかが三つ目の疑問である。チャレンジ精神だろうか。魔が差したとでもいうほかはない。
土曜の夜、ジョジョは母親とともに、FMラジオでジャズを楽しんでいた。「ステキじゃない、これ」。だが何の前触れもなく演奏はとぎれ、代わりに聞こえてきたのはあろうことかゲイセックスに勤しむ男たちの声だった。しかもその侵犯はおよそ五分間にわたった。

ジョジョはさっそくラジオ局のページにツイートした。「母もわたしも大笑いしてしまいました。乗っ取られたのではないかしら。先ほどゲイセックスの声が聞こえていましたよ」。

イワンのツイートはもっと早かった。「ジャズのはずでは?せっかくのディナーが気まずくてたまらないよ」。

先日、覆面でスーパーマーケットに押し込み、現金八千ドルを盗み出したピッツバーグの少年たちが、あっけなく逮捕された。逮捕のきっかけは、戦利品を自慢げに掲げる自分たちの写真をフェイスブックに載せたこと。犯人としてはけっして行なってはならない最下級の愚行が大方の失笑を買った。

イワンも思わぬかたちで発覚した罪の謗りを受けることになった。「イワンは少し無作法ですね。夕食中にぴいぴいツイートするとは」と。
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