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錯誤の数数に星の輝きを見つけるためのサイエンスフィクション
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英語圏の人人のファーストネームというものは実にややこしい。

エイブはきっとエイブラハムだろうとか、アレックスはアレクサンドラだろうとかは連関がわかりやすい。だが、ボブがじつはロバートだとか、ケイトがキャサリンだとかは、英語圏の人人にとってはしごく当り前なのだろうが、予備知識がない場合には戸惑ってしまう。

しかしその戸惑いは、たぶんに著者がカタカナで理解してしまっていることに起因すると思われる。キャサリンという音は実際には、敢えていうならキャサリンとケイトリンの狭間に位置していて、キャシーと呼ばれることもケイトと呼ばれることも自然の成行きなのではないか。

エリザベスから手紙が来たら、ああ、あのベティかと即座に理解できるくらいには慣れたいと遅ればせながら目論んでいる。

考えてみれば、著者は「かんの」が菅野だったり管野だったりする吃驚世界に暮らしている。日本語には文字が多く、ひらがなとカタカナに漢字文字を合わせた数は、ローマ字の比ではない。一方、音節が少ないので多くの同音異字がある。

「ゆうじ」は祐司だったり裕二だったり勇次だったりする。そんな吃驚世界に住む著者にとっては、英語圏のファーストネームなど恐るるに足りずと奮起した次第である。
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それが商標なのか普通名称なのか、判断に迷う場合がある。

そもそも「正露丸」は、日本陸軍が開発したものが起源とされる。日露戦争に赴く将兵に広く配付された経緯から、「露西亜(ロシア)を征する」をという意味を込め「征露丸」と呼ばれるようになった。日露戦争ならびに第二次世界大戦終結後にその謂れは好ましくないとの行政指導があり、「正露丸」と改められた。

「正露丸」は複数のメーカーから販売されたが、1954年にラッパのマークの大幸薬品が商標登録を断行した。不服とした他社が取り消しを求めて提訴し、1974年、「正露丸」は一般的な名称として認識されており、固有の商標とは考えにくいとの判決が確定した。

そうして「正露丸」は引き続き複数のメーカーから販売されている。が、派生商品である「正露丸糖衣」を含め、パッケージデザインの類似性をめぐる綱引きが、ラッパのマークの大幸薬品を軸に現在もくりひろげられている。なお、一社は一貫して「征露丸」の名前で販売しているとのことである。

著者の興味から「正露丸」の歴史をふりかえることとなった。そのほか、「業務スーパー」なども判断に迷う商標である。そのチェーンについてまるで予備知識のなかった著者は、たまたま訪れたウェブサイトを逍遥するうち、はて、これは名前だったかとようやくに気づいた。しかしその後もまだ納得がいかずに、「業務用スーパー」という普通名称と見比べつづけた。落ち着かない心地はまだ治まっていない。
「裸足で草の上を歩いてみませんか」。オーストラリアのとある製靴会社はそう問いかけた。「KUSA」と名づけられたそのゴムぞうりには、びっしりと芝草が植え込まれている。「あなたがどこまで走っていこうとも、ずっとその感触を味わうことができます」。

もっとも芝草といっても人工であるから、水遣りの心配はない。人工芝といえば、寸分の狂いもなく刈りそろえられた味気ない広がりを想像しがちだが、このゴムぞうりにはやけに無造作に不揃いの芝草が盛られてる。緑のなかに枯れたような薄茶を忍ばせるあたりも心にくい演出である。

「KUSA」が「草」であることに疑う余地はない。「sushi」や「sukiyaki」に続き、「kusa」も国際舞台に上ったか、と我が子の成長に目を細める心持を一時楽しんだが、その喜びはそう長くは続かなかった。

というのも、「草」ならば「grass」で十分ではないかと気づいたからである。「sushi」や「sukiyaki」は他に呼びようがないからそう呼ばれるのであり、事情は大きく異なる。

これでは「草草履」ではないか、同語反復もはなはだしい。かねてより移り気な著者は、いや「草ゴム草履」か、百八十度二回回れではないが、もはや何が言いたいのやら分からない、などと手のひらを返したように雑言を並べ始めた。冗長なのはよろしくない。そう、単純に「草履」でよいのだ。

そもそもゴムぞうりとは、草履の特殊形態であったはずだ。昔はイグサなどで編んだからこそ草履と呼ばれたものだろう。それが草素材ではなくなったときに、「ゴムぞうり」という言葉は生まれた。するとこの「KUSA」というシンプルなネーミングには、草履のルーツや日本文化への深いまなざしがあるのではないか。そんな気がしてきた。

「目を閉じてください。そうすれば、あなたはそこにいます」。そことは草の上だろうが、いまではフレーズが妙に哲学的に聞こえるから不思議である。
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