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錯誤の数数に星の輝きを見つけるためのサイエンスフィクション
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男は突然言いようのない疎外感を味わった。村の人人はなぜか彼を遠巻きにして、意味ありげな目を見交わしている。だが村人たちの噂に上るような行為をした覚えは男になかった。

男は失笑にさらされながらも、ようやく不十分な情報をつなげることができた。彼が庭で放尿するする姿がグーグルのストリートビューで見られる模様なのだ。

男の家がある仏西部メーヌエロワール県の村はとても小さく、住民はたがいの顔を見知っているのだという。ストリートビューに写ってしまった人の顔はぼかされるが、その家の庭で無防備に放尿する男がだれであるかは、輪郭や体格を傍証とせずとも、村の住人にとっては自明である。

撮影されたとき、彼は自分の庭にい、庭の門は閉まっていた。少少行儀が悪いことは認めるが、彼に落ち度はないはずだ。男は、承諾なしに写真を掲載したグーグルをプライバシー侵害のかどで訴え、問題の写真を直ちに削除するよう求めた。

対照をなすのは、バージニア州スプリングフィールドの事案である。

早朝5時30分、ベッドから出た男は何もまとわずにキッチンに向かった。コーヒーを入れるためである。が、その姿を窓越しに目にした通行人がいた。

通行人は警察に通報した。たしかに何も着けていなかったけど、自分の家で、ベッドから出たところだった。まだ暗かったし、誰かが外から見ているなんて思わないよ。そう男は反論した。

通報したのは女性で、7歳の男の子を連れていたそうだ。前述の行為が意図的なものと見做され、男は公然わいせつ罪で逮捕された。

どこに理があり、だれが無理を通しているかを判断する力は著者にない。ただ、アルテミスの沐浴を偶偶垣間見たアクタイオンは鹿に変えられ、連れていた猟犬に貪られてしまった。第一にインターネットという小道具が加わった点において、次に憤慨したのが目撃者側である点において、時代は変わったとの感慨を禁じえない。
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最後のチャンスが訪れた。というのも識者によれば、トリプル12、つまり2012年12月12日に赤ん坊が産まれる確率を高めるには、3月の第2週から4月の第1週の間に受胎しておくことが求められるからだ。

だが、出産日を正確に言い当てることはできない。昨年も、トリプル11、2011年11月11日にむりくりあわせようと、本来必要のない帝王切開を医師に迫った何組かの夫妻がいたという。

今年の意味合いは昨年とはわけが違う。トリプル13はないからだ。亀でもなければ90年は待てない。文字どおり最後のチャンスが過ぎようとしている。
英語圏の人人のファーストネームというものは実にややこしい。

エイブはきっとエイブラハムだろうとか、アレックスはアレクサンドラだろうとかは連関がわかりやすい。だが、ボブがじつはロバートだとか、ケイトがキャサリンだとかは、英語圏の人人にとってはしごく当り前なのだろうが、予備知識がない場合には戸惑ってしまう。

しかしその戸惑いは、たぶんに著者がカタカナで理解してしまっていることに起因すると思われる。キャサリンという音は実際には、敢えていうならキャサリンとケイトリンの狭間に位置していて、キャシーと呼ばれることもケイトと呼ばれることも自然の成行きなのではないか。

エリザベスから手紙が来たら、ああ、あのベティかと即座に理解できるくらいには慣れたいと遅ればせながら目論んでいる。

考えてみれば、著者は「かんの」が菅野だったり管野だったりする吃驚世界に暮らしている。日本語には文字が多く、ひらがなとカタカナに漢字文字を合わせた数は、ローマ字の比ではない。一方、音節が少ないので多くの同音異字がある。

「ゆうじ」は祐司だったり裕二だったり勇次だったりする。そんな吃驚世界に住む著者にとっては、英語圏のファーストネームなど恐るるに足りずと奮起した次第である。
花言葉とは花や実に付与された象徴的な意味であるが、周知のとおり時代や地域によってその意味が大きく異なる場合がある。

作中で恋人たちがクレマチスの香りを嗅いだとしよう。その花が「策略」を意味するか、「美しい心」を意味するかで受ける印象はまったく変わってしまう。それが19世紀の作品であるなら、「策略」をほのめかすことがその花を持ち出した作者の意図であるにちがいない。恋人たちは「美しい心」の持ち主なのだ、と解釈してしまっては物語についていけない恐れがある。

「可憐」な相手をイメージして花を贈ったら、まったく正反対に解釈されとんだ思惑違いだった。そんな小さなプロットの変奏も、しばしば作中に登場する。

テレビ司会者、マリエラ・フロストラップの騒動は記憶に新しい。彼女は何の気なくパンパスグラスの鉢をバルコニーに置いたが、その後彼女とその夫は旺盛なアプローチにさらされるはめになった。イギリスとアイルランドでは、スワッピング愛好者が住んでいることを示す密かな標として前庭にパンパスグラスを植えることがあるらしい。

マリエラ同様、この騒動ではじめてパンパスグラスの謂れを知った面々のなかには、「兄夫婦の家の前庭にパンパスグラスが植わっている、教えたほうがよいか、それとも、いやまさか」と心乱された者もいる。なお、パンパスグラスの花言葉は、「光輝」「雄大な愛」「風格」などである。
ジョージア州シャンブリーのウェルズ・ファーゴ銀行で強盗を試みた男はあえなく退散した。男が伏し目がちに受け渡し窓からすべり込ませたメモにはこう記されていた。「金を出せ。さもないと撃つぞ」

窓口係は驚いたものの、瞬時に気持を立て直してあとじさった。受け渡し窓の隙間を除けば、強固な防弾ガラスが彼女を守ってくれていることを思い出したからだ。呆気にとられた男は、目的を果たさぬまま早早に逃走するほかはなかった。

男は銀行の玄関口でタクシーに飛び乗った。自分の車はそう遠くない場所に停めてあったが、足を動かしてたどり着くだけの気力がもう残ってなかった。仕損じはしたが、ともかく自分の車に戻ることができる。まずは落ち着き、善後策を練ろう。しかし下車しようとしたとき、タクシー代を支払う手持ちさえないことに男は気づいた。

乗り逃げされるのではと恐れた女性ドライバーは、男をタクシーに閉じ込め、その不穏な様子は通りがかりの警官の注意を引いた。「さっさと引き出して支払わないと面倒なことになる」警官は男に助言した。

警官は近くの銀行まで男のために付き添った。そう、ウェルズ・ファーゴ銀行だった。銀行員が男に気づき、彼は逮捕された。

失敗を恐れることと、備えることはまるで違う。すぐに大金が入るのだからとほんの小額さえ持たなかった男は、敗れるべくして敗れ去った。
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